再転相続(2)
事例
被相続人Aの相続につき、代襲相続人Dが熟慮期間中に、相続の承認又は放棄を行わないまま死亡したため、Dの相続人EがAを被相続人とする相続(第1相続)とDを被相続人とする相続(第2相続)の双方を相続(再転相続)した。
再転相続人であるEが先に第2相続を放棄した場合、第1相続について承認又は放棄することができるのか。
その場合に第1相続について他の相続人Bは全部相続取得できるのか、AもDも遺言はありません。
回答
再転相続人であるEが、第1相続に関する相続選択権を行使することなく、先に第2相続について放棄をした場合は、それによってEはDが有していた第1相続に関する相続選択権を失うこととなり、第1相続については、Eが承認又は放棄することはもはやできない。
しかし、Eが第1相続の相続分がなくなるわけではなく、依然として、DはAの相続人であることに変わりなく、その相続分はDに帰属する。
したがって、第1相続についてのDの相続分は、Eが相続選択権を失ったため、Eの次順位の相続人に帰属し、当該相続人がいなければDについて相続人不存在の手続を行うこととなる(注1)。
この場合、第1相続の他の相続人Bは、第2相続の次順位相続人ではないので、第1相続についてのDの相続分を相続取得することはできない。
(注1)再転相続人の相続放棄(登研770号)
○要旨 下図(省略)の相続関係において、再転相続人であるJ及びKがHの相続(第2の相続)を放棄した場合において、Cの相続(第1の相続)についてのGの相続放棄申述受理証明書及びHの相続(第2の相続)についてのJ及びKの相続放棄申述受理証明書を申請書に添付してされたDのみを登記名義人とする相続を原因とする所有権の移転の登記の申請は、受理をすることができない。
▽問 下図(省略)の相続関係において、被相続人Cが死亡し、その代襲相続人であるHがCの相続(第1の相続)について相続選択権を行使することなく、熟慮期間内に死亡したところ、その再転相続人であるJ及びKは、Hの相続(第2の相続)について放棄をしました。この場合において、Cの相続(第1の相続)についてのGの相続放棄申述受理証明書及びHの相続(第2の相続)についてのJ及びKの相続放棄申述受理証明書を申請書に添付してされたDのみを登記名義人とする相続を原因とする所有権の移転の登記の申請は、受理をすることができないと考えますが、いかがでしょうか。
◇答 御意見のとおりと考えます。
(・被相続人Cは、平成24年3月1日に死亡した。
・Cには、配偶者及び子はなく、両親A・Bは、Cよりも先に死亡している。
・Cの兄弟姉妹D・Eのうち、Eは、Cよりも先に死亡しており、Eには、配偶者F及び子G・Hがいる。
・Hは、Cの相続について、相続選択権を行使することなく平成24年4月1日に死亡し、Hには、離婚した配偶者I及び子J・Kがいる。
・Gは、Cの相続について相続の放棄をした。
・J・Kは、Hの相続について相続の放棄をし、その後、FもHの相続について相続の放棄をし、さらに、GもHの相続について相続の放棄をした。)
○要旨 下図(省略)の相続関係において、再転相続人であるJ及びKがHの相続(第2の相続)を放棄した場合において、Cの相続(第1の相続)についてのGの相続放棄申述受理証明書及びHの相続(第2の相続)についてのJ及びKの相続放棄申述受理証明書を申請書に添付してされたDのみを登記名義人とする相続を原因とする所有権の移転の登記の申請は、受理をすることができない。
▽問 下図(省略)の相続関係において、被相続人Cが死亡し、その代襲相続人であるHがCの相続(第1の相続)について相続選択権を行使することなく、熟慮期間内に死亡したところ、その再転相続人であるJ及びKは、Hの相続(第2の相続)について放棄をしました。この場合において、Cの相続(第1の相続)についてのGの相続放棄申述受理証明書及びHの相続(第2の相続)についてのJ及びKの相続放棄申述受理証明書を申請書に添付してされたDのみを登記名義人とする相続を原因とする所有権の移転の登記の申請は、受理をすることができないと考えますが、いかがでしょうか。
◇答 御意見のとおりと考えます。
(・被相続人Cは、平成24年3月1日に死亡した。
・Cには、配偶者及び子はなく、両親A・Bは、Cよりも先に死亡している。
・Cの兄弟姉妹D・Eのうち、Eは、Cよりも先に死亡しており、Eには、配偶者F及び子G・Hがいる。
・Hは、Cの相続について、相続選択権を行使することなく平成24年4月1日に死亡し、Hには、離婚した配偶者I及び子J・Kがいる。
・Gは、Cの相続について相続の放棄をした。
・J・Kは、Hの相続について相続の放棄をし、その後、FもHの相続について相続の放棄をし、さらに、GもHの相続について相続の放棄をした。)
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