法定財産制度
1 夫婦の財産関係
1.法定財産制度
(1)婚姻費用の分担(民法760条)
夫婦は、婚姻共同生活を維持するための費用については、それぞれの資産、収入、その他一切の事情を考慮して分担すべきということです。
婚姻生活における経済的共同性を示すものです。
(2)日常家事債務の連帯責任(民法761条)
夫婦が婚姻共同生活を営むには、食糧や衣服等が必要ですが、これは、通常、第三者と売買契約等を締結して入手します。このような売買代金の支払債務等は、婚姻共同生活を維持するための債務ですから、夫婦が共同責任を負うべきということです。つまり、婚姻共同生活を維持するための費用(婚姻費用)については、夫婦で分担するのですから(民法760条)、婚姻生活から生じる債務(日常家事債務)についての対外的な責任も夫婦の共同責任とされたのです。
(3)夫婦別産制(民法762条1項)
夫婦の一方が婚姻前に取得した財産は、婚姻後もその人のものです。婚姻したというだけで婚姻相手の財産について何らかの権利を取得することはありませn。これと同様に婚姻中に夫婦の一方が名義で取得した財産(たとえば、親からの相続や贈与により取得した財産)は、その人の財産であり、他方がその財産について権利を有するということはありません(民法762条1項)。これが婚姻後の夫婦財産関係の原則です。これを「夫婦別産制」といいます。また、このように婚姻後も夫婦の一方だけが所有する財産のことを特有財産(固有財産)といいます。